現在も在宅で親の介護をしています。
食事量が減り、食べなくなっていく親の姿をみて、どう向き合えばいいのか分からず不安になりました。
その経験が、このサイトを作るきっかけです。
ある日突然食事量が減っていく
在宅で介護をしていると、ある日ふと「食べなくなった」と感じる瞬間があります。
食事を残すようになった、以前は好きだったものに手をつけない。でも理由を聞いても、はっきりした答えは返ってこない。
私の場合は母が全失語で様子を見ながらの食事介助が続いていました。高齢の母が、少しずつ食事を残すようになり、何が原因なのか分からず戸惑ったのを覚えています。
同じように「親が食べなくなった」と悩んでいる方へ、私の体験と気づきをお伝えします。
高齢者が食べなくなる主な理由
高齢の親が食事を食べなくなる背景には、さまざまな理由が考えられます。私自身も当時は分からず悩みましたが、後から知った情報も含めて整理します。
1. 加齢による身体的な変化
- 味覚・嗅覚の低下:高齢になると味を感じにくくなり、食事への興味が薄れることがあります
- 唾液の減少:口の中が乾きやすくなり、飲み込みづらさを感じます
- 消化機能の低下:胃腸の働きが弱まり、食欲が出にくくなります
- 嚥下機能の衰え:飲み込む力が弱くなると、食べること自体が負担になります
2. 精神的・心理的な要因
- うつ傾向:気分の落ち込みが食欲不振につながることも
- 孤独感:一人で食べる寂しさが食事の楽しみを奪います
- 環境の変化:生活リズムの乱れや環境変化がストレスになることも
3. 病気や薬の副作用
- 持病の影響:心臓病、腎臓病、糖尿病などが食欲に影響
- 薬の副作用:服薬による食欲低下や味覚の変化
- 口腔内のトラブル:入れ歯が合わない、口内炎など
4. 認知症の進行
認知機能の低下により、食事そのものへの関心が薄れたり、食べ方を忘れて
しまうこともあります。
食べてくれないことが、こんなにつらいとは
体調なのか、作り方なのか、自分のせいなのか
最初に浮かんだのは、「体調が悪いんじゃないか」という不安でした。
病院で相談しても、「年齢的なものもありますね」「様子を見ましょう」と言われるだけ。
次に考えたのは、「私の作り方が悪いのかもしれない」ということです。
- やわらかさが足りない?
- 味が合わない?
- 栄養を気にしすぎて、逆に食べづらくしている?
答えが出ないまま考え続けるうちに、
「食べてくれない」ことが、何よりもつらくなっていました。
- せっかく用意したのに、という気持ち
- ちゃんと食べさせなきゃ、という責任感
- このままで大丈夫なのかという不安
怒りたくないのに、ついきつい言い方になってしまうこともありました。
一番つらかったのは、どうすればいいのか分からないまま時間だけが過ぎることでした。
無理に食べさせようとして、空回りしていた日々
「少しでいいから食べて」
「これならどう?」
「体にいいから」
そう声をかけるたびに、母の表情が少しずつ硬くなっていくのを感じました。
今振り返ると、食事そのものよりも、食べる時間がプレッシャーになっていたのかもしれません。
脳梗塞後、口から食べられるようになるまで
母は右片麻痺があり、脳梗塞を発症した後は、口から食べることができませんでした。
鼻から細い管を入れて栄養をとる「経鼻経管栄養」での日々。
その状態から、再び口から食べられるようになったこと自体が、奇跡に近いことでした。
最初は食事前の体操から始めそれから食べ物はゼリーからスタートしていきました。
水分はトロミをつけ、徐々に薄くしていき現在はトロミはついていません。
ゼリー →とても細かく刻まれてる刻み食→荒刻み→一口大にレベルアップしていった。
当時携わってくださった専門職のリハビリ、デイサービスのスタッフの皆さんには、
今でも心から感謝しています。
食事量が減っていく不安
あんなにうれしかった「口から食べる」という時間も、
5年が過ぎるころには、少しずつ変わっていきました。
「これから食事は介助が必要だ」
そう思い込んでいた私は、どうすればもっと食べてもらえるか、毎日悩んでいました。
ただ置いてみただけで起きた変化
ある時、試しに手づかみで食べられるパンや、小さく切ったサツマイモを母の目の前に置いてみました。
声をかけたわけでも、「食べて」と促したわけでもありません。
ただ、そっと置いて、少し離れたところから見守っていただけです。
自分の手で、ゆっくりと
しばらく観察していると、母は、お皿に置いてあったサツマイモにゆっくりと手を伸ばし、自分で取っていました。
そして、サツマイモをつかんで、自ら口へ運んだのです。
おいしそうに、ゆっくりと噛みしめながら食べる母の姿。
その光景を見たとき
驚きと同時に、うれしくて涙が流れてしまいました。
「自分で食べられるんだ」
「まだ、こんな力が残っているんだ」
介助が必要だと決めつけていたのは、私の方だったのかもしれない。
そう気づかされた瞬間でした。
何もしないことも、関わり方のひとつなのかもしれない
介護をしていると、「してあげなきゃ」「助けなきゃ」と思いがちです。
でも、手を出さないことで保たれる時間や、本人のペースもあるのだと感じました。
- すべてを管理しなくてもいい
- そっと見守るだけの時間があってもいい
そう思えたのは、この出来事があったからです。
専門家の視点と一般的なアドバイス
在宅介護での食事の悩みについて、一般的に推奨されている対処法もご紹介します。
食事環境を整える工夫
- 食べやすい形状にする:一口大、とろみをつける、ペースト状にするなど
- 好きなものを優先:栄養バランスよりも、まずは食べる喜びを
- 食事の時間を柔軟に:決まった時間にこだわらず、食べたいときに少量ずつ
- 一緒に食べる:孤食を避け、誰かと一緒に食事をする機会を作る
医療・介護の専門家に相談
- かかりつけ医:薬の副作用や病気の影響をチェック
- 歯科医師:口腔内の状態や入れ歯の調整
- 管理栄養士:栄養補助食品や食事形態のアドバイス
- ケアマネジャー:介護サービスの活用(配食サービス、訪問栄養指導など)
無理に食べさせないことも選択肢
高齢者の食欲不振は、体が必要とするエネルギー量が減っていることの現れでもあります。
「食べないこと」を責めず、本人のペースを尊重する視点も大切です。
正解は分からないままだけれど
今でも、あのときの関わり方が正解だったのかは分かりません。
高齢の親が食べなくなる理由は、体調、気分、嚥下、味覚、生活リズムなど、ひとつではないと思います。
ただ、「ちゃんとやらなきゃ」と自分を追い込むより、できる形を整えて、見守る。それも大切な選択なのかもしれません。
同じように悩んでいる方へ
家族が食べなくなったとき、戸惑うのは自然なことだと思う。
頑張っているからこそ、悩み、不安になるのだと思います。
この体験が、同じように迷っている方にとって
「一人じゃない」と感じられるきっかけになればさいわいです。
在宅介護の食事に悩んだときは、
専門家や同じ立場の人とつながることで、思いがけないヒントが見つかることもあります。
その選択肢の一つとして、宅配弁当という方法もあります。
私自身も、無理を続けないための方法として真剣に考えています。
▶︎ 高齢者向け宅配弁当の選び方はこちら


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